2010年08月14日

『第九軍団のワシ』『銀の枝』(ローマンブリテン四部作)

第九軍団のワシ


映画化するというので読んでみました。ローマン・ブリテン四部作の一冊目。初サトクリフであります。ファンタジーではなく歴史ものです。
まだ全シリーズ読破したわけではありませんが、これがシリーズの中で一番有名で映画化もされるというのは分かる気がします。主人公の思想が現代的すぎるという批判もあるそうですが、確かにその通りなんですけど、そのせいで読みやすく共感しやすい話になってるんですね。
暑苦しすぎない程度に熱い友情と家族愛があり、一応恋愛物でもあるし、そつなく物語に求められる要素が全部入ってるから誰が読んでも満足できるし。
挫折した若者が立ち直ってささやかだけどそれなりの幸せを得る話なのですが、あくまでも「ささやか」なところがポイント。立ち直る過程で旅立った冒険でも、クライマックスは目的を達する場面じゃなくて逃避行というのが何か徹底しているというか。人生の充実は表面的な華やかさではなくて、その人にとって何が重要か、ということなんですよ、ということですか。

映画は来年の二月公開のはず・・・なんですが、スチールが何枚か公開されてだけで謎に包まれております。最大の謎はキャスト表にヒロインがいないこと!!!私にとっては大問題だよ!(笑)出番ちょびっとだし、どう考えても友情の方がメインなのでざっくりカットでも仕方ないかなあとは思うけど・・・。ヒロイン出さないならせめてチビ(主人公が飼う狼)は出してええ!!じゃないと画面に潤い皆無の漢祭りになっちゃうよ!!

銀の枝


二冊目。前作ではローマからブリテンに異動になったローマ軍の兵士が主人公でしたが、その後ブリテンに定着したその子孫のお話。前回は友情ものである種の主従ものだったんですが、今回は親戚の青年二人が活躍するお話。またも友情ものなんですが、前回は一応お題目があったものの非常にパーソナルな話だったのが、今回はパルチザンものでクライマックスは戦争が勃発するし、こう言ってはなんだけど、結構派手。こっちのが映画向きなんだけど、前作を踏まえていないと厳しいので、難しいのかな。
ひょんなことから抵抗運動に身を投じる話なんですが、主役二人が善良で前向きなので、周囲の人がばんばん死ぬ割に楽しくすいすい読めます。読後感もさわやかです。
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2010年08月07日

通話



(amazonより引用)
『通話』―スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と“僕”の奇妙な友情を描く『センシニ』、第二次世界大戦を生き延びた売れないフランス人作家の物語『アンリ・シモン・ルプランス』ほか3編。『刑事たち』―メキシコ市の公園のベンチからこの世を凝視する男の思い出を描く『芋虫』、1973年のチリ・クーデターに関わった二人組の会話から成る『刑事たち』ほか3編。『アン・ムーアの人生』―病床から人生最良の日々を振り返るポルノ女優の告白『ジョアンナ・シルヴェストリ』、ヒッピー世代に生まれたあるアメリカ人女性の半生を綴る『アン・ムーアの人生』ほか2編。


チリ人作家による短編集。形容しがたい、とらえどころのない魅力のある本です。
ユーモアというよりは自虐的、適度に自虐的であるということは客観的であるということで、つまりは淡々とした文章。多分に自分語りに帰結する話が多いのだけど、客観的なので湿っぽくも嫌みっぽくもない。
そういう視点から、決して幸せではないけれでも厭世的でもない人々の半生や回想が綴られた短編がいくつか集められています。誰も幸せではないけれど、それは大抵の人には物語的な奇跡は起こらないからで、だからといって極端に不幸せでもないわけです。そして、大抵の人の人生には余韻なんてものは無いので、話もぷつりと途切れるように、だけれども決して唐突ではなく終わるのでした。おすすめです。
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2010年06月02日

ヘルボーイ:百鬼夜行



ヘルボーイ新刊です。前作に引き続きダンカン・フィグレドがアート担当。
短編のゲストキャラが唐突に再登場!とかずっと出てきてた謎の団体の正体がようやく明らかになったり、とある意味意外すぎる展開。新シリーズになってから、過去のおさらいシリーズになってますかね。それにしても、どこまでが計画通りで、どこまでが思いつき・・・いや、なんでもないです。
フィグレドさんのアートも好きなんだけど、やっぱりミニョーラのカバー絵を見てしまうとゴニョゴニョ。でもあと1シリーズはこの人だそうで。
デル・トロ監督が「ホビット」降板だそうですが、ミニョーラはどうするんでしょう。もう仕事終わってるのかなあ。そろそろコミックの方に帰ってきてくれないかしら。

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2010年03月22日

魔法の館にやとわれて



「クレストマンシー」シリーズのひとつ。今回は15歳のクリストファーがメインです。過去作をほぼ読了済だからだろうけど、おなじみのキャラクターがカメオ的にラストに登場するところや、全体的にすっきりとしていて楽しく読めるところも含めてファンサービスのようなボーナスステージのようなお話に感じてしまいました。これが最初の「クレストマンシー」体験だったら全然印象違うだろうなあ。
お話もわりと単純で横道にそれたりしないし、登場人物もそこまで多くないので読みやすいです。

DWJの他の作品にも漏れず、主人公のコンラッド少年は結構不幸なんですが、本人が良い子なことと、新しい環境下で親しくなる人たちには優しくしてもらえるせいかあんまり暗い雰囲気ではありません。笑えるのがクリストファーの思い込みの激しさとやな奴ぶりとラブコメ体質。・・・・・やっぱり、他の「クレストマンシー」シリーズを何冊か読んでから、おまけ的な気持ちで読む方が楽しめそうかな。
posted by alek at 19:01| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月15日

『呪文の織り手』『時の彼方の王冠』(デイルマーク王国史)



「デイルマーク王国史」第3巻。過去編、それもデイルマーク成立のお話まで遡ってしまいます。
このシリーズは抑圧されている人たちがメインキャラなので、どちらかというと暗めなのですが、この巻も諸事情あって生まれ育った村を追われた兄弟が戦争に巻き込まれて・・・という重くて辛い設定になっています。ファンタジー色もいままでで一番濃いわりに地味なので、飽きちゃう人もいるかもしれません。個人的には前2冊よりはずっと面白かったし、シリーズ中いちばん好きといってもいいくらいだけど。
少女が主人公なのでDWJの少女小説風味が好きな人に特にオススメ。
兄弟の仲の悪さがリアルすぎて、前半ちょっと堪えました(苦笑)。



最終巻。前3巻の登場人物が一堂に会して意外な結末を迎えます。2巻で主要キャラの姉弟のお疲れなお父さんとして出てきたネイヴィスが、最終巻ではほぼ完璧超人のイケメン中年として再登場してきたので、思わず2巻を読み返してしまいましたよ。ああびっくりした。
一応魔法がでてきたりするファンタジーではあるけれど、架空歴史ものが好きな人の方が楽しめるのではないかなあ。
1〜3巻はDWJ初期作品独特の堅苦しさがあるのですが、4巻は約15年後に書かれたためか、こなれていて読みやすかったです。しかし、完結に20年近くかかってしまうと、当初の読者がすっかり大人になってしまっているわけで、いいのだろうか・・・・。
posted by alek at 18:24| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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